6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、ひと月以上が経過しました。
メディアにも大きく取り上げられることが増え、この数ヶ月で民泊という言葉がずいぶん世の中に浸透したと感じます。
とは言え、テレビなどで民泊の特集番組を観ていると、民泊新法と特区民泊をごちゃごちゃにして話をしている方もまだまだ見受けられます。つい先日も友人から「特区民泊ってなに?」「民泊新法と違うの?」という質問を受けました。
今や「違法民泊」の単語も頻繁に使われていますから、もう少し正確に民泊を理解しておきたいところです。

特区民泊とは?

MYコンサルサポートの運営する特区民泊物件(大阪)

特区民泊は、正式名称を「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」と言います。長い名前ですね。

では、その国家戦略特別区域とはいったい何かというと、安倍内閣が日本の成長戦略の柱の一つとして掲げている、地域振興と国際競争力の向上を目的として規定された経済特区のことを指します。2013年6月に特区の創設が決まりました。
この特区については、閣総理大臣および都道府県知事から「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」についての認定を受けることで、同事業については旅館業法の規定が適用されないというルールになっているのです。つまり、特区に指定されている自治体は自ら条例を定めることで「特区民泊」を行うことができるということです。
あくまで条例を定めた自治体だけ、という点に注意が必要です。

関西地区は早い時期からインバウンドに取り組んできました。特に大阪でインバウンドが伸びている理由は、関空の存在とLCCの充実、中国向けのプロモーションにかなり早い段階で着手して”OSAKA”のブランド化に成功したこと、加えて個々の事業者や住民マインドが前向きだったこともあげられるでしょう。
大阪府や大阪市の特区民泊がいち早く進んだ背景には、地域の長期凋落傾向に対する危機感が強く、一方で規制緩和政策への期待感がありました。行政側も事業者や住民サイドも本気度が高かったのだろうと思います。やはり商売のうまい大阪人、という感じがしています。
東京都は戦略特区になっています。が、「特区民泊」を条例で制定したのは大田区だけでした。この時期は大阪市と変わりません。ただし進め方はあまり上手くなかったですね。物件がほとんど認定されませんでした。現在大田区は「特区民泊を積極的に活用する」という方針を打ち出し、認定件数も増えています。

特区民泊と民泊新法の違い

ですから、民泊新法が基本的に日本中どこの地域の民泊においても適用される法律であるのに対し特区民泊は限られたエリアで旅館業法の適用除外という形で認められている点が大きく異なるのです。
法律や制度の成り立ちが異なるので、民泊を始めるための手続きや規制の内容も違っています。例えば、特区民泊を開始するためには該当自治体へ申請を行い認定を取得する必要がある一方、民泊新法では内容が整っていれば届出ることで開始できます。
また、規制の中身での最も大きな違いは、年間の営業日数のルールです。特区民泊では年間365日の営業が可能なのですが、民泊新法では年間180日までと規制されています。民泊新法のもとでは、ビジネス視点で考えるとこの「180日規制」の克服が最も重要な課題になっています。

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言っても仕方がないことですが、暑い日が続きますね。体調に気を付けてお過ごしください。